【一級建築士試験(計画)】諦めていた奥の空間にも光と風を!「ライトウェル」が変える住まいの質

一級建築士

都市部の住宅密集地や、奥行きのある敷地での家づくり。日当たりや風通しに不安を感じていませんか?

「奥まった部屋はどうしても暗くなりがち…」「風が通り抜けず、湿気がこもりやすい…」

そんな悩みを解決し、住まい全体を明るく、心地よい空間に変える建築手法、それが「ライトウェル(光井戸)」です。今回はこのライトウェルについて解説します。

ライトウェルとは?その主要な構成要素

ライトウェルは、文字通り「光の井戸」を意味します。外部に面していない部屋にも自然光新鮮な空気を届ける役割を果たす、建築物内部の空間構造です。

ライトウェルを形成する主な要素は、以下の組み合わせが挙げられます。

  1. トップライト(天窓)+吹き抜け(最も一般的) 屋根に設けた天窓からの光を、垂直な吹き抜けを通じて、家の最深部まで届けます。採光と排熱に最も高い効果を発揮する組み合わせです。

  2. 中庭(ライトコート) 建物の中央部に設ける外部空間です。地上階から光と風を取り込むため、プライバシーを守りながら開放感が得られます。

  3. 高窓(ハイサイドライト)+吹き抜け 吹き抜けの上部や高い位置に窓を設けることで、壁面収納や家具の配置を邪魔することなく、高い位置から安定した光と風を呼び込みます

劇的な「採光」効果

ライトウェルの最大の魅力は、その採光力にあります。

  • 天からの光を取り込む: 上部の窓やトップライトから入る光を、吹き抜けを通じて住まいの奥深くまで導きます。

  • 奥の部屋も明るく: 建物中央部の廊下や水回り、階段下など、光が届きにくい場所も、昼間は照明なしで過ごせるほどの明るさに変貌させます。

まるで家の中に小さな空ができたかのように、豊かな自然光が降り注ぐ、開放的な空間が実現します。

快適な「通風」を生み出す仕組み

採光だけでなく、ライトウェルは通風においても非常に優れた効果を発揮します。

  • 煙突効果(チムニー効果)の利用: 暖められた空気は上昇し、ライトウェルの上部(天窓や高窓)から効率よく排出されます。これにより、低い位置の窓から新鮮で涼しい空気が取り込まれ、家の中に気持ちの良い風の流れが生まれます。

  • 湿気や熱を排出: 特に夏の暑さや梅雨時の湿気対策として強力で、エアコンに頼りすぎない省エネで健康的な暮らしをサポートします。

「光と風の設計」で実現する豊かな暮らし

ライトウェルを設計に取り入れることで、あなたの家は単なる建物ではなく、光と風が織りなす生き生きとした空間へと生まれ変わります。

  • プライバシーを保ちながらも、自然を感じられる中庭のような心地よさ

  • 家族が自然と集まる、明るく開放的なLDK

  • 暗くなりがちな階段や廊下も、ギャラリーのような美しい空間に。

問題と解説 【2014年出題】

問題

ライトウェルは、住戸の奥行きが深い場合であっても、通風と採光を得ることができる計画手法である。

回答

正解

解説

ライトウェルとは、建物内部に設けた吹き抜け中庭(ライトコート)、またはトップライト(天窓)と高窓(ハイサイドライト)の組み合わせなどによって形成される空間です。この手法は、都市部の密集地や間口が狭く奥行きの深い住宅、あるいは集合住宅など、外部に面する開口部が限られる建物において、奥まった部分にも採光を届け、また上部の開口部から熱を排出して新鮮な空気を取り込む煙突効果を利用することで通風を確保するために非常に有効な手段とされています。したがって、住戸の奥行きに関わらず、快適な居住環境を確保するための重要な計画手法です。

免責事項

本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。

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