今回は、自分たちの理想の家を実現する仕組みのコーポラティブハウスについて解説します。
コーポラティブハウスとは?
コーポラティブハウスを簡単に説明すると、「住宅を建てたい人たちが集まり、組合を結成して、共同でマンションや集合住宅を建築・所有する」という方式の住宅です。
一般的な分譲マンションとの大きな違いは、「住まいづくりに参加できる」という点。
分譲マンションは、デベロッパーが企画・建築した物件を購入する形ですが、コーポラティブハウスは、住む人たちが主体となって、設計者や施工会社を選び、間取りや内装、さらには建物のデザインまで、自分たちの意見を反映させて作り上げていきます。
コーポラティブハウスのメリット
理想の間取りやデザインを実現できる
これが最大の魅力でしょう。
「リビングを広くしたい」「趣味の部屋が欲しい」「キッチンにこだわりたい」など、家族構成やライフスタイルに合わせて、一戸建てのように自由な設計が可能です。
一般的なマンションでは諦めていた「自分だけの特別な空間」を、手にすることができます。
建築コストを抑えられる可能性がある
デベロッパーの利益や販売経費などがかからないため、同じようなグレードの分譲マンションに比べて、コストを抑えられる場合があります。
ただし、土地の価格や建築費、設計費など、様々な要素で変動しますので、あくまで「可能性がある」という点にご注意ください。
住人同士のコミュニティが築きやすい
計画段階から「家づくり」という共通の目標に向かって話し合いを重ねるため、自然と住人同士の連帯感が生まれます。
完成後も、お互いの顔が見える関係なので、防犯面でも安心ですし、困ったときに助け合える、温かいコミュニティが育まれやすい環境です。
コーポラティブハウスのデメリットと注意点
良いことばかりのように聞こえますが、注意すべき点もいくつかあります。
時間と労力がかかる
計画の初期段階から住人同士で話し合いを重ねるため、完成までにはかなりの時間と労力を要します。仕事や家事の合間に打ち合わせに参加したり、様々な決定事項について意見を交わしたりする必要があります。
スケジュールや計画が変更になる可能性がある
天候や資材の調達状況、住人同士の意見の相違など、様々な要因で計画が遅れたり、変更になったりする可能性があります。
資金計画を慎重に行う必要がある
一般的に、完成前に建築費を段階的に支払っていく必要があります。また、ローンを組む場合も、通常の住宅ローンとは異なる手続きが必要になることがあります。専門家と相談しながら、慎重に資金計画を立てることが重要です。
問題と解説 【2019年出題】
問題
コーポラティブハウスは、自ら居住する住宅を建設しようとする者が組合を結成し、共同して事業計画を定め、建築物の設計、工事発注等を行って住宅を取得し、管理していく方式である。
回答
正解
解説
コーポラティブハウスは、住宅の取得を希望する人が自ら事業主体となり、共同で事業計画を立て、設計者や施工者を選定して建設する方式です。
これは、共同の事業体である「組合」を設立し、組合員が主体となって事業を進める点が、一般的な分譲マンションと大きく異なります。分譲マンションは、事業主であるデベロッパーが企画・建設し、完成したものを購入する形式です。
このため、コーポラティブハウスは、居住者の意見を設計に反映させやすく、コストダウンにも繋がるというメリットがあります。一方で、事業の主体が居住者自身であるため、完成までに時間や労力がかかり、資金計画を慎重に行う必要がある点が注意点となります。
免責事項
本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。
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