【一級建築士試験(環境・設備)】熱負荷計算、定常と非定常を使いこなそう!

一級建築士

「熱負荷計算法には、一般に、定常計算法、非常計算法等があり、計算の目的により使い分けられる。」

「定常計算法」と「非定常計算法」言葉は知っていても、その違いと使い分けを明確に理解しているでしょうか? 今日のブログでは、この二つの計算法について、わかりやすく解説していきたいと思います!

熱負荷計算とは?

まず、熱負荷計算とは何かを簡単に説明します。 建築物の熱負荷計算とは、建物内部を快適な温度に保つために、どれくらいの熱エネルギーが建物に出入りするのかを定量的に把握する計算のことです。 冷暖房設備の容量を決めたり、省エネルギー性能を評価したりするために非常に重要な計算です。

定常計算法とは?

「定常」という言葉は、「常に一定の状態」という意味合いです。 定常計算法は、建物の内外の温度や日射などが時間的に変化しない、あるいはその変化がごく緩やかであると仮定して行う計算方法です。 つまり、ある瞬間の熱の出入りが、その状態が継続すると考えて計算します。

<定常計算法の主な特徴>

  • シンプルで計算が容易: 比較的簡単な計算式で、手計算でも概算が可能です。
  • 設計の初期段階での概算に: 冷暖房設備の初期的な容量検討や、大まかな熱的性能の比較検討に適しています。
  • 動的な変化は考慮しない: 日射の変動や室内の蓄熱など、時間とともに変化する要素は厳密には考慮されません。

例えば、ある日のピーク時の冷房負荷をざっくりと把握したい場合などに用いられます。

非定常計算法とは?

一方、「非定常」は「時間とともに状態が変化する」という意味です。 非定常計算法は、建物の内外の温度、日射量、内部発熱などが時間とともに変化することを考慮して行う計算方法です。 建物の壁や床などの蓄熱効果や、日射による室温上昇のタイムラグなども詳細に計算に組み込みます。

<非定常計算法の主な特徴>

  • 詳細な熱挙動を把握: 時間ごとの室温変化や熱負荷の変動をより正確に予測できます。
  • 複雑な計算: コンピュータによるシミュレーションが不可欠で、専門的な知識とソフトウェアが必要です。
  • 省エネルギー設計に威力を発揮: 蓄熱効果を活かした設計や、日中の温度変動を考慮した自然換気設計など、より高度な省エネルギー設計に活用されます。
  • 詳細な設備設計に: ピーク負荷だけでなく、時間ごとの負荷変動を把握することで、よりきめ細やかな設備制御が可能になります。

例えば、一年間のエネルギー消費量を予測したり、パッシブ設計の効果を検証したりする際に用いられます。

計算の目的による使い分け

これら二つの計算法は、計算の目的によって使い分けられます。

  • 設計の初期段階で大まかな検討をしたい場合や、概算で冷暖房容量を把握したい場合には、定常計算法が適しています。手軽にサッと計算したい時に便利です。

  • より精度の高い熱負荷を把握したい場合建物の省エネルギー性能を詳細に評価したい場合、あるいは時間ごとの室温変化や設備運転をシミュレーションしたい場合には、非定常計算法が不可欠となります。

問題と解説

問題

熱負荷計算法には、一般に、定常計算法、非常計算法等があり、計算の目的により使い分けられる。

回答

正解

解説

建物の熱負荷計算とは、室内を快適な温度に保つために必要な冷暖房の熱量を算出することです。これには大きく分けて二つの計算法があります。

  • 定常計算法:建物内外の温度や日射が一定の状態が続くと仮定して行う計算です。比較的シンプルで、設計の初期段階での大まかな冷暖房容量の検討など、概算が必要な場合に用いられます。時間の経過による熱の蓄積などは考慮しません。
  • 非定常計算法:時間とともに変化する温度や日射、建材の熱の蓄積などを詳細に考慮して行う計算です。複雑な計算が必要で、コンピュータシミュレーションが不可欠ですが、年間のエネルギー消費量予測や、より精密な省エネルギー設計など、詳細な分析が必要な場合に用いられます。

このように、それぞれの計算法は、計算の目的や必要な精度に応じて使い分けられます

免責事項: 本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。

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