【基礎学習 一級建築士(計画)】集合住宅の種類を徹底解説!低層から中高層まで

一級建築士

集合住宅と一口に言っても、その種類はさまざまです。今回は、一級建築士試験にも頻出する集合住宅の分類について、低層から中高層まで詳しく解説していきます。

低層集合住宅

低層集合住宅は、一般的に3階建て以下の集合住宅を指します。戸建てに近い感覚で暮らせるのが魅力です。

テラスハウス

テラスハウスは、2戸以上の住戸が連なり、それぞれが専用の庭やテラスを持つ形式の住宅です。各住戸が独立した玄関を持ち、共同住宅でありながら戸建て感覚を味わえるのが特徴です。壁を共有しているため、一戸建てよりもコストを抑えられるメリットもあります。各住戸が独立しているため、集合住宅の中ではプライバシーが確保しやすい点も魅力です。

タウンハウス

タウンハウスもテラスハウスと同様に住戸が連なる形式ですが、敷地が全体として一体的に計画され、コモンスペース(共用庭)や共用のアプローチ、駐車場などを設けていることが多いです。景観の一体性が高く、コミュニティが形成されやすいという特徴があります。

中高層集合住宅

中高層の集合住宅は、建物の通路の配置住戸の断面形状によって、いくつかのタイプに分けられるんです。そして、そのタイプによって、住み心地も大きく変わってきます。

通路形式による分類

中高層集合住宅は、各住戸へのアクセス方法である通路形式によって細かく分類されます。

階段室型

階段室型は、一つの階段室を中心に複数の住戸が配置される形式です。各階の住戸数が少ないため、プライバシーが保たれやすいという特徴があります。集合住宅でありながら独立性が高く、プライバシーを損なうことなく、住戸の四方から採光や通風を得られることができるのもメリットです。

片廊下型

片廊下型は、共用廊下が建物の片側にのみ配置され、その廊下から各住戸にアクセスする形式です。採光や通風を片側に集約できるため、住戸のプランニングがしやすくなります。**エレベーター1基あたりのサービス住戸を多く配置できるため、中高層住宅に適しています。**また、2方向避難の計画が容易である点も特徴です。

中廊下型

中廊下型は、建物の中心に共用廊下を配置し、その両側に住戸を配置する形式です。ホテルやオフィスビルでよく見られる形式ですが、住戸の採光や通風を確保するのが難しくなる場合があります。この形式は共用部の面積を少なくできるメリットがあります。一方で、片側にしか開口部を設けられない住戸が発生するため、北向きの住戸を避けるためにも、住棟を南北軸に配置することが望ましいとされます。

ツインコリドール型

ツインコリドール型は、中廊下型の発展形とも言え、住棟の中央部に2つの廊下を設け、その間に共用部や吹き抜けなどを配置する形式です。採光、通風に加え、換気も良好な点が特徴です。多くの住戸を効率的に配置できる反面、共用部分が大きくなりやすい傾向があります。中廊下型と同様に、住戸の採光・通風を考慮すると、住棟は南北に配置されることが望ましいです。

 スキップフロア型

スキップフロア型は、共用廊下を数階おきに設け、そこから階段で上下の住戸にアクセスする形式です。この方式により共用廊下の面積を小さくできます。また、廊下の無い階の住戸は、他の住戸と接する面が少なくなるため、プライバシーが確保しやすく、採光・通風も良好です。しかし、各住戸への動線が長くなりがちで、避難計画が難しいという課題もあります。

コア型・ホール型

コア型またはホール型は、エレベーターや階段などの共用部分を建物の中央に集約し、その周りに住戸を配置する形式です。高層建築で多く用いられ、構造的な安定性や効率的な動線計画が可能です。共用部分の面積を小さくできるメリットがあります。一方で、階段がまとまっているため、2方向避難が難しく、避難計画が複雑になることがあります。

ボイド型

ボイド型は、建物の中央に吹き抜け(ボイド)を設けることで、各住戸への採光や通風を確保する形式です。デザイン性が高く、開放的な空間を演出できます。

住戸断面形式による分類

住戸の内部空間の構成、特に階層の有無によっても集合住宅は分類されます。

① フラット型

フラット型は、一つの住戸がワンフロアで構成されている一般的な形式です。移動がスムーズで、バリアフリーに対応しやすいという特徴があります。

② メゾネット型

メゾネット型は、一つの住戸が2層以上の階層で構成されている形式です。戸建て感覚で暮らせるため人気が高く、上下階で空間を使い分けられるメリットがあります。共用廊下の無い階の住戸は、廊下からの視線を気にすることなく、プライバシーを確保しやすいです。また、住戸内に専用階段が必要となるため、比較的大規模な住戸に適していると言えます。

問題と解説①

問題

タウンハウスとは、各戸が地面に接し、専用庭をもつ連続した集合住宅である。

回答

不正解

解説

タウンハウスは、複数の住戸が連続して建ち並ぶ形式の集合住宅で、各住戸は地面に接していますが、専用庭だけでなく、共用の庭やアプローチ、駐車場などを一体的に計画しているのが特徴です。そのため、個々の住戸の独立性が高いテラスハウスに対し、タウンハウスはコミュニティ性が重視される傾向があります。。

問題と解説②

問題

中廊下型は、ツインコリドール型に比べると、住戸の採光・換気の条件が改善される。

回答

不正解

解説

中廊下型は、建物の中心に廊下があるため、住戸は片側にしか開口部を持てず、採光や換気に制約があります。これに対し、ツインコリドール型は、2つの廊下と中央の吹き抜けや共用部を設けることで、住戸の両面に開口部を設けることが可能になり、採光・通風・換気の条件が改善されます。したがって、ツインコリドール型の方が採光・換気条件は良好である。

問題と解説③

問題

スキップフロア型は、共用廊下を介さずに、外気に接する開口部を、2面設けることが出来る階がある。

回答

正解

解説

スキップフロア型では、共用廊下を設ける階と設けない階を交互に配置します。このうち、共用廊下を介さない階の住戸は、建物の両側に開口部を設けることが可能になります。これにより、2面採光や2面通風が確保され、居住環境が向上します。廊下を設けないことで、プライバシーの確保にも繋がり、住戸の開放性を高めることができるため、スキップフロア型の大きな利点の一つです。

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