ご自宅の階段、何気なく上り下りしていませんか?実は、住宅内での事故で最も多い場所の一つが「階段」です。特に、踏み外しやバランスを崩した際の転倒は、大きなケガにつながることも少なくありません。
そんな階段での事故を防ぐための重要な設備が手すりです。ただ設置すればいいというわけではなく、その「高さ」と「選び方」が、安全性と使いやすさを大きく左右します。今回は、階段の手すりに焦点を絞って詳しく解説します。
階段手すりの適切な高さとは?
階段の手すりの高さは、利用する人が安全に、そして無理なく使えることが最も重要です。
単独手すりの場合
一般的なご家庭では、床から75cm〜85cmの高さに手すりを設置することが推奨されています。これは、大人が手すりを握ってバランスを取りやすい、最も自然な高さです。階段を上り下りする際に、自然に手を置いて肘が軽く曲がるくらいの位置が理想的です。
二段手すりの場合
小さなお子様がいるご家庭や、ご高齢の方と同居しているご家庭、または将来に備えたい場合は、二段手すりの設置が非常に有効です。
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上段: 一般的な成人が利用しやすい75cm〜85cmに設置します。
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下段: 幼児や高齢者、車いすを利用する方などが使いやすいよう、少し低い60cm〜65cmに設置します。
これにより、一つの手すりで多様な利用者の安全を確保できます。
階段手すりの選び方で大切なこと
手すりの高さだけでなく、その形状や材質も、使いやすさに大きく影響します。
形状と太さ
握りやすさが最も重要です。一般的には、握りやすい丸型や楕円形が使われます。太さは、成人男性から高齢者、子どもまで誰もが握りやすい直径3.2cm〜3.5cm程度がおすすめです。太すぎると握りづらく、細すぎると安定感が失われてしまいます。
材質
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木材: 温かみがあり、手に馴染みやすいのが特徴です。滑りにくく、内装にも合わせやすいので、住宅の階段手すりとして最も一般的です。
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金属: スタイリッシュな見た目で、耐久性や耐候性に優れています。屋外の階段や、モダンな内装に合わせるのに適しています。
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樹脂・プラスチック: 手触りが良く、加工がしやすいのが特徴です。比較的安価で、様々なデザインがあります。
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これらの材質は、それぞれにメリット・デメリットがあります。ご自宅の雰囲気や、誰が主に使うかを考えて選ぶと良いでしょう。
まとめ
階段の手すりは、ただの「滑り止め」ではありません。それは、日々の暮らしを安全に、そして安心して過ごすための重要なパートナーです。
適切な高さに設定し、使いやすい素材や形状のものを選ぶことで、階段は誰にとっても安全な場所になります。
問題と解説
問題
一般成人を対象とした階段の手すりの高さは、踏面の先端から75~85㎝程度が適当とされている。
回答
正解
解説
建築基準法施行令第25条で、階段の安全性を確保するために手すりの設置が定められていますが、具体的な高さについては規定されていません。しかし、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)や、建築関連の指針・ガイドラインにおいて、一般成人が使いやすい手すりの高さとして、階段の踏面の先端から75cm~85cmが標準とされています。これは、自然に手を伸ばした際に無理なく体を支えられ、バランスを取りやすい高さとされており、安全な昇降を可能にするための根拠に基づいています。したがって、一級建築士試験の問題としては、この標準的な高さが正解となります。
免責事項
本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。
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