【一級建築士試験(計画)】「サービス付き高齢者向け住宅」を徹底解説

一級建築士

「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」について、その定義から設計上のポイント、さらには関連法規まで、試験で問われやすい箇所を分かりやすく解説していきます。

サービス付き高齢者向け住宅とは?

まず、サービス付き高齢者向け住宅の基本的な定義から確認しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅とは、「高齢者住まい法」に基づいて登録された賃貸住宅で、高齢者が安心して暮らせるよう、一定の基準を満たした設備・サービスが提供される住宅のことです。

【ここがポイント!】

  • 登録制度であること: 許可制ではなく、都道府県知事への登録が必要です。
  • 賃貸住宅であること: 一般的な老人ホームのような施設ではなく、あくまでも賃貸契約に基づいた住まいです。
  • 高齢者の居住の安定確保を目的としていること: 高齢者が安心して居住できる環境を提供することが目的です。

登録基準|一級建築士として押さえるべきは「面積」と「設備」!

試験対策として最も重要なのが、サ高住の登録基準です。特に建築士としては、建物の構造や設備に関する基準をしっかり把握しておく必要があります。

床面積の基準

  • 原則25m²以上: 各住戸の床面積は、原則として25m²以上でなければなりません。
  • 例外18m²以上: ただし、共同生活室等の共用部分が十分にある場合は、18m²以上でも認められます。
    • 試験で問われやすいポイント: この18m²の例外規定は特に重要です。共同生活室がどれくらい確保されていれば良いのか、具体的な数値まで覚えておきましょう。

設備の基準

  • 各住戸に台所・便所・収納設備・洗面設備・入浴設備を設置: これらは「原則」各住戸に設置されている必要があります。
  • 例外として共用化も可: 例外として、高齢者の身体状況等に配慮し、共同利用の便所、浴室等がある場合は、各住戸に設置しないことも可能です。
    • 試験で問われやすいポイント: 共用化が認められるケースはどのような場合か、具体例を把握しておくことが大切です。

バリアフリー構造の基準

  • 手すりの設置、段差の解消、廊下幅の確保など、高齢者が安全に移動できるバリアフリー構造であることが求められます。

サービス提供の基準

  • 安否確認サービス: 少なくとも1日に1回は安否確認を行う必要があります。
  • 生活相談サービス: 高齢者の生活上の相談に応じるサービスを提供する必要があります。
    • 試験で問われやすいポイント: サービス提供は「必須」であり、その内容も問われることがあります。

高齢者住まい法と建築基準法の関係

サービス付き高齢者向け住宅は「高齢者住まい法」に基づいていますが、もちろん「建築基準法」にも適合している必要があります。

  • 用途地域: 建築基準法上の用途地域に適合しているか確認が必要です。
  • 耐火・準耐火構造: 建物の規模や用途によっては、耐火・準耐火構造の義務が発生します。
  • 避難規定: 高齢者が多く居住するため、適切な避難経路や設備の確保が重要です。

設計上の留意点|「高齢者」に寄り添った計画を!

一級建築士としてサービス付き高齢者向け住宅の設計を行う際には、基準を満たすだけでなく、実際に高齢者が快適に暮らせる空間を創り出す視点が不可欠です。

  • 動線のシンプル化: 複雑な動線は高齢者にとって負担となります。
  • 明解なサイン計画: 視認性の高い表示や案内が必要です。
  • 色彩計画: 落ち着いた色合いや、視覚的に分かりやすい配色が望ましいです。
  • 採光・通風: 快適な居住環境を確保するため、十分な採光と通風計画が求められます。
  • 地域との連携: 地域コミュニティとの交流を促すためのスペースなども考慮に入れると良いでしょう。

問題と解説

問題

サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスの提供等に関して一定の基準を満たし、単身高齢者世帯、高齢者夫婦世帯等の住居の安定を確保するための賃貸等の住宅である。

回答

正解

解説

バリアフリー構造は高齢者が安全に暮らすための必須要件で、段差解消や手すり設置など、「高齢者住まい法」で定められた具体的な基準の理解が求められます。次に、介護・医療との連携によるサービス提供が「サービス付き」の所以です。安否確認や生活相談が必須であり、必要に応じた介護・医療連携体制が、一般の賃貸住宅との大きな違いとなります。最後に、サ高住は高齢者の住居安定を目的とした**「賃貸等の住宅」**であり、施設ではなく「住まい」としての位置づけが重要です。都道府県知事への「登録」制度であることも覚えておきましょう。この問題文に含まれるこれらの要素を深く理解することが、試験対策の鍵となります。

免責事項: 本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。

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