建物の設計、特に空調設備や省エネルギー性能の計画において、設計用外界条件の設定は極めて重要なステップです。これは、建物がその生涯で直面するであろう、最も厳しく、かつ現実的な外部環境の条件を定めるものです。
設計用外界条件とは?
設計用外界条件とは、建物の熱負荷計算や空調・換気設備の容量を決定する際に、建物外部の環境として設定する温度、湿度、日射量、風速などの気象データのことです。
これらの条件が不適切だと、以下のような問題が生じます。
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厳しすぎる設定(極端な値の採用): 設備容量が過大(オーバースペック)になり、初期投資とランニングコストが無駄に高くなる。
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緩すぎる設定(平均値の採用): 設備能力が不足し、建物内の快適性が損なわれる(夏暑く、冬寒い)。
そこで、経済性と快適性のバランスを取るために、統計的な手法で最も合理的な条件が選定されます。その選定されたデータの一つとして使われるのがTAC温度です。
TAC温度:設計用外界条件の具体的な指標
TAC温度(Typical Annual Conditions:代表年間気象条件)は、設計用外界条件の中でも、特に外気温度や外気湿度を決定する際の重要な指標です。
所定の超過確率とは?
TAC温度は、稀にみられる猛暑等の要因は取り除かれる。代わりに「年間でこの温度を超える時間が〇〇時間以下になる」といった所定の超過確率に基づいて設定されます。
例えば、冷房設計用外気温度を決定する際、その温度を上回るのが年間でごくわずかな時間(数十時間程度)に限定されるように設定することで、大多数の運転時間で設備が十分な性能を発揮できるようにします。
免責事項
本記事は一級建築士試験の学習を補助する目的で作成されており、特定の試験問題の出題を保証するものではありません。学習においては、必ず公式のテキストや過去問題、最新の法規をご確認ください。
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