建築現場で使用されるコンクリートですが、品質管理の為、受入検査と強度試験が行われます。今回はコンクリート工事で使用するコンクリートの受入検査と強度試験について説明をしていきます。
生コンクリートの受入検査
受入検査とは
コンクリートの品質が建物の強度に与える影響は大きいため、打設の前に検査を行い計画された生コンクリートが搬入されているか確認を行います。この検査に合格した生コンクリートを打設することができるのです。
受入検査の項目
納品書の確認
生コン車が到着したら最初に納品書で発注した事項と適合しているかを確認する。
単位水量
コンクリートの単位水量は生コン車ごとに納品書により確認する。
(発注者によっては特記により試験をすることを求められることがある)
コンクリートの温度
コンクリートの荷卸し時の温度を測定する。
スランプ
コンクリートの流動性を確認する試験で、スランプ値は特記に記載されています。
所要スランプ(cm) | スランプの許容差(cm) |
---|---|
8以上18以下 | ±2.5 |
18を超える | ±1.5(高性能AE減水剤を使用している場合±2.0) |
塩化物量
精度が確認された塩化物含有量測定器具(カンタブ:標準品、ソルコン等)を用いて測量する。
JIS A 5308では塩化物イオン量として、0.30kg/㎥以下とされている。
空気量
空気量はコンクリートの流動性に影響を与え、値が大きいほど流動性が高いが圧縮強度は空気量と比例して低下するため、空気量が大きくならないよう注意が必要。
コンクリートの種類 | 空気量 | 空気量の許容差(%) |
---|---|---|
普通コンクリート | 4.5 | 指定した値の±1.5 |
軽量コンクリート | 5.0 | 指定した値の±1.5 |
コンクリートの強度試験
強度試験の種類
コンクリートの強度試験には、調合管理強度試験・構造体強度試験があります。これらを混乱している人も多いと思いますが、それぞれ試験を行う目的が異なります。
調合管理強度試験・・使用するコンクリートの品質確認(調合強度)
構造体強度試験・・・構造体に打ち込まれたコンクリート強度の判定
つまり、調合管理強度試験とは現場に持ち込まれたコンクリートが事前に計画した配合計画書通りの品質を満たしていることを確認しています。また、構造体強度試験では、構造体に打ち込まれたコンクリートが事前に計画した配合計画書通りの品質を満たしているかを確認するために行います。
試験の回数
試験の回数は、調合管理強度試験・構造体強度試験共同じになります。
打ち込み日ごと、打ち込み工区ごと、かつ、150㎥以下にほぼ均等に分割した単位ごとに行う。
供試体の個数
供試体の個数は、調合管理強度試験・構造体強度試験共同じになります。
1回の試験で使用する供試体の数は3個です。
供試体の作製方法
供試体の作製方法は、下記の通りとなります。
・調合管理強度試験
1台の運搬車から採取した試料で同時に3個の供試体を作製する。
・構造体強度試験
適切な間隔をあけた3台の運搬車から、それぞれの試料を採取し、1台につき1個(合計3個)の供試体を作製する。
供試体の養生方法
・調合管理強度試験
標準養生 28日
・構造体強度試験
工事現場における水中養生 28日
工事現場における封かん養生 28日及び28日を超えて91日以内
標準養生 28日
まとめ
受入検査の項目に合格してからコンクリート打設が開始されます。その後、採取された供試体で強度試験を行い注文したコンクリートと、打設されたコンクリートが配合計画書通りの強度があるか確認します。今回はコンクリート打設に必要な項目を説明しましたが、最終的には監理者に計画書を提出し承諾を得た方法で行ってください。
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